○塩竈市いじめ防止対策推進条例
平成28年3月8日
条例第8号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第16条)
第2章 塩竈市いじめ防止基本方針(第17条・第18条)
第3章 塩竈市いじめ問題対策連絡協議会(第19条―第22条)
第4章 塩竈市いじめ防止等対策委員会(第23条―第27条)
第5章 塩竈市いじめ問題再調査委員会(第28条―第32条)
第6章 雑則(第33条)
附則
全ての子どもは、それぞれが一人の人間としてかけがえのない存在であり、次代の社会を担う大切な宝である。
社会の宝である子どもに対するいじめは、いじめを受けた子どもの心と体に苦しみや痛みをもたらし、子どもが人間として尊重され成長する権利を著しく侵害し、その心身又は生命に重大な危険を生じさせるものであり、許される行為ではない。
いじめを防止し、子どもが安心して学び、成長できる環境を整備することは塩竈市、塩竈市教育委員会、学校及び学校の教職員、保護者並びに市民等全ての者に課された責務である。
互いを尊重し、いじめを許さない文化と風土を市全体で作り上げるため、いじめの防止等についての規範を定め、全ての者でいじめの防止等のための施策を推進していくためにこの条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、いじめの防止等のための対策について基本理念を定め、塩竈市(以下「市」という。)、塩竈市教育委員会(以下「教育委員会」という。)、学校及び学校の教職員の責務又は保護者、子ども、市民等及び関係機関等の役割を明らかにするとともに、基本的な施策を定めることによりいじめの防止等を総合的かつ効果的に推進し、もって、子どもが健全に成長することができるいじめのないまちを作り上げることを目的とする。
(1) いじめ 子どもに対して、当該子どもが在籍する学校に在籍している等当該子どもと一定の人的関係にある他の子どもが行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった子どもが心身の苦痛を感じているものをいう。
(2) いじめの防止等 いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。
(3) 学校 塩竈市立学校設置条例(昭和56年条例第45号)に規定する小学校及び中学校をいう。
(4) 子ども 学校に在籍する児童又は生徒をいう。
(5) 保護者 親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
(6) 市民等 市内に在住する者、市内に事務所若しくは事業所を有する個人又は法人その他の団体、市内の事務所又は事業所に勤務する者及び市内の学校に在籍する者をいう。
(7) 関係機関等 警察署、児童相談所、法務局その他子どものいじめ問題に関係する機関及び団体をいう。
(8) 重大事態 法第28条第1項に規定する重大事態をいう。
(基本理念)
第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての子どもに関係する問題であることに鑑み、子どもが安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての子どもがいじめを行わず、及び他の子どもに対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが子どもの心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する子どもの理解を深めることを旨として行われなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた子どもの生命及び心身を保護することが特に重要である認識に立ち、市、教育委員会、学校、保護者、市民等及び関係機関等の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行われなければならない。
(いじめの禁止)
第4条 子どもは、いかなる理由があってもいじめを行ってはならない。
(市の責務)
第5条 市は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、教育委員会、学校、保護者、市民等及び関係機関等と積極的に連携するとともに、子どもが安心して生活し学ぶことができる環境を整備するため、いじめの防止等のための対策を策定し、総合的かつ効果的に推進する責務を有する。
2 市は、子どもが健全に成長するために必要な措置を講ずる責務を有する。
(教育委員会の責務)
第6条 教育委員会は、基本理念にのっとり、学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
(学校及び学校の教職員の責務)
第7条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、教育委員会、当該学校に在籍する子どもの保護者、地域住民及び関係機関等との連携を図り、学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する子どもがいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速に対処する責務を有する。
2 学校は、当該学校におけるいじめを早期発見するため、当該学校に在籍する子どもに対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずる責務を有する。
3 学校及び学校の教職員は、子どもが相手のことを思いやり、相手の立場を尊重する気持ちを育む教育活動の充実に努める。
4 学校及び学校の教職員は、子ども及び保護者が安心して相談することができる環境を整備する責務を有する。
5 学校は、重大事態が発生した場合は、教育委員会を通じて市長に報告しなければならない。
(保護者の役割)
第8条 保護者は、子どもの教育について第一義的責任を有するものであり、その言動が子どもに大きな影響力を与えるとの認識の下、いじめはいじめを受けた人の心に深い傷を長く残すことや犯罪とされる行為が含まれることをその保護する子どもに理解させるよう努めなければならない。
2 保護者は、その保護する子どもがいじめを行うことのないようにするため、規範意識及び生命を大切にし、他人を思いやる心などの基本的な倫理観を養うための教育その他の必要な教育を行うよう努めなければならない。
3 保護者は、市、教育委員会及び学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めなければならない。
(子どもの役割)
第9条 子どもは、互いの人格を尊重し共に支えあい、いじめのない明るい学校生活を送れるよう努めるものとする。
2 子どもは、いじめの防止等の取組について自ら積極的に考え、いじめの防止等のための活動を行うよう努めるものとする。
(市民等の役割)
第10条 市民等は、いじめが行われることのないよう、地域において子どもに対する見守り、声かけ等を行い、子どもが安心して生活することができる環境の整備に努めるものとする。
(関係機関等の役割)
第11条 関係機関等は、市が策定するいじめの防止等のための対策の推進に関し、相互に連携を図るものとする。
(いじめの相談等)
第12条 いじめを受けたと思われる子どもの発見者及びいじめが行われている疑いがあると思われる事態を発見した者は、速やかに市、教育委員会、学校又は関係機関等へ相談若しくは情報提供をするよう努めるものとする。
2 市、教育委員会及び学校は、前項の相談又は情報提供があった場合は、速やかに必要な措置を講ずるものとする。
3 市及び教育委員会は、関係機関等と連携し、いじめに係る情報の一元化及び共有化を図るものとする。
(情報提供及び啓発活動)
第13条 教育委員会は、子どもが互いに尊重し合い、いじめの防止等に向けて主体的に行動することができるよう、子ども及び保護者に対しいじめに係る相談の方法その他必要な情報の提供をするとともに、いじめの防止等に係る啓発活動を随時行うものとする。
(個人情報の取扱い)
第14条 市及び教育委員会は、いじめの防止及びいじめへの対処に当たり知り得た個人情報の取扱いに万全を期すとともに、当該個人情報をいじめの防止及びいじめへの対処以外の目的で利用しないものとする。
2 いじめに係る相談又は情報提供を受けた者は、正当な理由なく、知り得た個人情報を漏らしてはならない。
(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策)
第15条 教育委員会及び学校は、当該学校に在籍する子ども及びその保護者が、発信された情報の高度の流通性、発信者の匿名性その他のインターネットを通じて送信される情報の特性を踏まえ、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、及び効果的に対処することができるよう、当該子どもに対する情報モラル教育(情報化社会の中で適切に行動するための基本となる考え方及び態度を養うことを目的とする教育をいう。)の充実に努めるとともに、その保護者に対して、必要な啓発活動を行うものとする。
2 教育委員会は、子どもがインターネットを通じて行われるいじめに巻き込まれることがないよう適切に対処できる体制の整備に努めるとともに、関係機関等と連携を図るものとする。
3 教育委員会は、インターネットを通じて行われるいじめについて、情報化の進展状況を勘案し、学校、子ども及びその保護者に対し、インターネットを通じて行われるいじめに関する情報の提供等必要な措置を講ずるものとする。
(財政上の措置等)
第16条 市は、いじめの防止等のための対策を推進するために必要な財政上の措置その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
第2章 塩竈市いじめ防止基本方針
(塩竈市いじめ防止基本方針)
第17条 市長及び教育委員会は、協力して法第12条に規定する地方いじめ防止基本方針として塩竈市いじめ防止基本方針(以下「基本方針」という。)を策定するものとする。
2 基本方針は、法第11条第2項各号に定めるもののほか、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) いじめの防止等のための対策の具体的な方針に関する事項
(2) いじめの防止等に係る学校の組織に関する事項
(3) いじめの早期発見及び適切かつ迅速な対応に関する事項
(4) 重大事態への対処に関する事項
3 市長及び教育委員会は、社会情勢の変化及びいじめの防止等に係る取組の検証結果を踏まえ、必要に応じて基本方針の変更を行うものとする。
4 市長及び教育委員会は、基本方針を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 基本方針の策定(変更を含む。)にあたり必要な事務は、おおむね教育委員会が行うものとする。
(学校いじめ防止基本方針)
第18条 学校は、基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針及び具体的な計画を定めるものとする。
第3章 塩竈市いじめ問題対策連絡協議会
(塩竈市いじめ問題対策連絡協議会)
第19条 教育委員会は、法第14条第1項の規定に基づき、いじめの防止等に関係する機関等と連携を図るため、塩竈市いじめ問題対策連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第20条 連絡協議会は、次に掲げる事項について協議する。
(1) いじめの防止等に関係する機関等の連携に関する事項
(2) その他教育委員会が必要と認める事項
(組織等)
第21条 連絡協議会は、委員15人以内をもって組織し、教育委員会が委嘱する。
2 委員の任期は3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
(委任)
第22条 この章に定めるもののほか、連絡協議会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
第4章 塩竈市いじめ防止等対策委員会
(塩竈市いじめ防止等対策委員会)
第23条 教育委員会は、法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会と連絡協議会との円滑な連携の下に、いじめの防止等のための施策等を実効的に行うため、塩竈市いじめ防止等対策委員会(以下「対策委員会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第24条 対策委員会は、教育委員会の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) いじめの防止等のための対策に関する事項
(2) 法第23条第2項の規定により報告された事案に関する事項
(3) 重大事態に係る事実関係に関する事項
(組織等)
第25条 対策委員会は、委員15人以内をもって組織し、教育委員会が委嘱する。
2 委員の任期は3年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任することができる。
(臨時委員)
第26条 教育委員会は、特別の事項を調査審議させる必要があると認めるときは、対策委員会に臨時委員を置くことができる。
2 臨時委員は、教育、法律、心理及び福祉等専門的な知識を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。
3 臨時委員の任期は、当該特別の事項に関する調査審議が終了したときまでとする。
(委任)
第27条 この章に定めるもののほか、対策委員会の運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
第5章 塩竈市いじめ問題再調査委員会
(塩竈市いじめ問題再調査委員会)
第28条 市長は、法第30条第2項の規定に基づき、第7条第5項の規定による報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、塩竈市いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第29条 再調査委員会は、市長の諮問に応じ、法第28条第1項の規定による調査の結果について調査審議する。
(議会への報告)
第30条 市長は、法第30条第2項の規定による調査を行ったときは、その結果を議会に報告しなければならない。
(組織等)
第31条 再調査委員会は、委員5人以内をもって組織し、教育、法律、心理及び福祉等専門的な知識を有する者のうちから、市長が委嘱する。
2 委員の任期は、委嘱の日から答申を行った日までとする。
3 委員は再任することができる。
(委任)
第32条 この章に定めるもののほか、再調査委員会の運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
第6章 雑則
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
(特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
2 特別職の職員の給与に関する条例(昭和26年条例第3号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略