○塩竈市障がいのある人もない人も共に安心して暮らせる福祉のまちづくり条例
令和2年3月5日
条例第4号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 基本理念と責務(第3条―第9条)
第3章 障がいを理由とする差別を解消するための施策等
第1節 基本的な施策(第10条―第16条)
第2節 差別に関する相談(第17条―第20条)
第4章 雑則(第21条)
附則
人間社会は、障がいのある人、ない人など多様な人たちによって構成されている。全ての人は、障がいの有無にかかわらず、基本的人権を享有するかけがえのない個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有している。しかしながら、障がいのある人はその障がいによる生活のしづらさに加え、障がいや障がい者への誤解や理解不足から生じた社会的障壁による困りごとを抱え、日々の生活の中で障がいを理由とした不利益な取扱いなどの差別を感じながら生活している方も少なくない。
こうした状況を解消するため、全ての市民がこの問題を深く受け止め、障がいや障がい者に対する理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に向けて取り組むことが必要である。
わたしたちのまち塩竈は、障がいを理由とする差別をなくすために、全ての市民が障がいの多様性を認識し、障がいのある人に対する理解を深めるとともに、個人の尊厳が損なわれることのないよう、障がいのある人もない人も共に支え合い、安心して暮らせる福祉のまちの実現を目指すため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関し、基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別をなくすための施策を定めることにより、全ての市民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を図ることを目的とする。
(1) 障がい 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がいをいう。
(2) 障がい者 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。次号において「法」という。)第2条第1号に規定する障害者をいう。
(3) 社会的障壁 法第2条第2号に規定する社会的障壁をいう。
(4) 不当な差別的取扱い 正当な理由なく、障がいを理由として、障がい者に対して不利益な取扱いをすることをいう。
(5) 合理的配慮 障がい者の人格、人権及び意向を尊重し、障がい者の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な措置(その実施に伴う負担が過重であるものを除く。)をいう。
(6) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
(7) 事業者 市内において商業その他事業を行う者(行政機関を除く。)をいう。
第2章 基本理念と責務
(基本理念)
第3条 障がいを理由とする差別をなくすための取組は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
(1) 障がいのある人もない人も、等しく基本的人権を享有する個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること。
(2) 全ての人が共生する社会の実現は、障がいのある人もない人も、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互の違いを理解し、その個性と人格を互いに尊重することを基本として行われること。
(3) 全ての障がい者は、障がいを理由とした差別を受けず、自ら選択した場所に居住し、地域社会を構成する一員として、社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。
(4) 障がいを理由とする差別の多くが、障がいに対する誤解、偏見又は理解不足から生じていることを踏まえ、全ての市民及び事業者が障がいに対する理解を深める必要があること。
(5) 全ての障がいのある人が、合理的配慮が的確に行われることにより、障がいのない人と等しく、権利を行使し、機会を得、又は待遇を受けることができること。
(6) 全ての人が、障がいを持つ可能性があることを踏まえる必要があること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障がい及び障がい者に対する理解を深める取組の促進を図るとともに、障がいを理由とする差別の解消に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、障がい及び障がい者に対する理解を深め、障がい者への偏見をなくすとともに、市が実施する施策に協力するよう努めるものとする。
2 市民は、障がい者から合理的配慮を求められた場合は、相互に助け合いながら対応に努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、障がい及び障がい者に対する理解を深め、市が実施する施策に協力するとともに、障がい者に対する差別や偏見のない職場づくりのために必要な取組を行うよう努めるものとする。
(障がい者への差別の禁止)
第7条 市、市民及び事業者は、障がい者に対し、障がい者の生命又は身体の安全の確保のため、やむを得ないと認められる場合その他正当な理由がある場合を除き、障がいを理由として次に掲げる取扱いその他の不当な差別的取扱いにより、障がい者の権利利益を侵害してはならない。
(1) 障がい者が、福祉サービス(社会福祉法(昭和26年法律第45号)第2条第1項に規定する社会福祉事業に係る福祉サービス又はこれに類する福祉サービスをいう。)を利用することを拒否し、制限し、若しくはこれに条件を付し、又は強制すること。
(2) 障がい者が、医療を受けることを拒否し、制限し、若しくはこれに条件を付し、又は強制すること。
(3) 障がい者が、年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた教育を受けることを拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(4) 障がい者が、不特定多数の者の利用に供される建物その他の施設又は公共交通機関を利用することを拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(5) 障がい者との間で不動産の売買又は賃貸借、賃借権の譲渡若しくは賃借物の転貸に係る契約を締結することを拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(6) 前各号に掲げるもののほか、障がい者が商品を購入すること又はサービスを利用することを拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(7) 労働者の募集又は採用に関し、障がい者の応募又は採用を拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(8) 雇用する障がい者の賃金、労働時間、配置、昇進、教育訓練、福利厚生その他の労働条件について不利益な取扱いをし、又は障がい者を解雇すること。
(9) 障がい者への情報の提供を拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(10) 障がい者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(以下「意思の表明」という。)を受けることを拒否し、制限し、又はこれに条件を付すこと。
(市が行う合理的配慮)
第8条 市は、その事務又は事業を行うに当たり、障がい者から意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。
(事業者が行う合理的配慮)
第9条 事業者は、その事業を行うに当たり、障がい者から意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障がい者の権利利益を侵害することとならないよう、合理的配慮をしなければならない。
(令6条例6・一部改正)
第3章 障がいを理由とする差別を解消するための施策等
第1節 基本的な施策
(啓発活動及び交流の推進)
第10条 市は、市民及び事業者の障がい及び障がい者に関する関心と理解を深めるために必要な啓発活動を行うとともに、障がい者との交流の推進に必要な施策を実施するものとする。
(雇用及び就労に関する取組の充実)
第11条 市は、関係機関と連携し、障がい者の雇用及び就労の定着を促進する取組の充実を図るものとする。
2 市は、事業者に対し、障がい者への理解を深める取組の促進を図るとともに、働きやすい環境の整備に関する啓発及び情報の提供を行うものとする。
(意思疎通の支援の充実)
第12条 市は、他者との意思疎通を図ることが困難である障がい者に対してサービス又は情報を提供する場合において、意思疎通が円滑に行われるよう障がいの状態に応じた支援の充実を図るものとする。
2 市は、事業者に対し、他者との意思疎通を図ることが困難である障がい者に対してサービス又は情報を提供する場合において、障がいの状態に応じた適切な配慮の必要性に関する啓発及び当該配慮の方法に関する情報の提供を行うものとする。
(障がい者福祉施策の形成過程への参画の推進)
第13条 市は、障がい者福祉施策の形成過程における障がい者の参画を推進するため、施策の企画、立案等に当たっては、障がい者に対する情報提供や障がい者からの意見を聴く機会を設けるよう努めるものとする。
(塩竈市障がい者差別解消調整委員会)
第14条 障がいを理由とする差別の解消に関する連携強化及び取組を推進するため、塩竈市障がい者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」という。)を設置する。
2 調整委員会は、委員15名以内をもって組織する。
3 委員は、障がい者及び福祉、教育、雇用その他障がい者の権利の擁護について優れた識見を有する者のうちから、市長が委嘱する。
4 前3項に定めるものほか、調整委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
(関係機関との調整)
第15条 市は、障がいを理由とする差別の解消の施策の推進に当たり、関係機関との連携の強化に努めるものとする。
(財政上の措置)
第16条 市は、障がいを理由とする差別の解消の施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第2節 差別に関する相談
(障がい者からの相談等への対応)
第17条 障がい者及びその家族、後見人その他の関係者又は事業者(第3項において「障がい者等」という。)は、市に対し、障がいを理由とする差別に関する相談を行うことができる。
2 市は、前項の相談を受けたときは、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。
(1) 相談に係る事案(以下「相談事案」という。)に対する助言及び情報提供その他障がいを理由とする差別の解消のために必要な支援
(2) 相談事案の当事者その他の関係者に対する事実の確認及び関係者間の調整
(3) 前2号に掲げるもののほか、障がいを理由とする差別を解消するために必要な対応
(助言又はあっせん)
第18条 調整委員会は、前条第3項の規定による求めがあった相談事案について、その解決のために必要な助言又はあっせんを行うことができるものとする。
2 調整委員会は、前項の助言又はあっせんを行うために必要と認めるときは、相談事案の当事者その他の関係者に対し、説明又は必要な資料の提出を求めることができる。
(勧告)
第19条 調整委員会は、市長に対し、次の各号のいずれかに該当する者に対して必要な措置を講ずべきことを勧告するよう求めることができる。
(1) 調整委員会が、前条第1項の規定による助言又はあっせんを行った場合において、正当な理由なくその助言又はあっせん案を承諾しなかった者
(2) 調整委員会が、前条第2項の規定による求めを行った場合において、正当な理由なく当該求めに応じず、又は虚偽の説明若しくは資料の提出をした者
2 市長は、調整委員会から前項の規定による求めがあった場合において、必要と認めるときは、当該求めに係る者に対し、当該事案の解決のために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(公表)
第20条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた者が正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
2 市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、当該公表に係る者に対し、あらかじめ、その旨を通知し、その者又はその代理人の出席を求め、意見陳述の機会を与えなければならない。
第4章 雑則
(委任)
第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
2 特別職の職員の給与に関する条例(昭和26年条例第3号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(令和6年3月条例第6号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。