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長期総合計画序論
長期総合計画は、本市のまちづくりや行政運営の指針として、基本的な考え方や施策の方向性を定めたものであり、本市が策定する各種個別計画の上位計画に位置づけられます。
地方分権時代を迎え、地方公共団体においては主体性を発揮した個性あるまちづくりが実現できる反面、地域の果たすべき役割と責任はこれまでになく大きくなります。
そのため、本市では広域行政の推進や行財政改善の積極的な取り組みなど行政体制の整備・確立に努めるとともに、これまで以上に市民、企業のまちづくりへの参画を図っていく必要があります。
そのようなことから、この計画は、行政運営の指針であるとともに、市民、企業などまちづくりの多様な主体と行政が協働してまちづくりを進める指針としての役割を担うものです。
本市では、昭和63年度を初年度とし、平成12年度を目標とする第3次にあたる長期総合計画を策定し、計画的に各種施策に取り組んできました。
この間の社会経済情勢の変化をみると、第3次計画で想定していた国際化、情報化、高齢化などの社会情勢は、より現実的な動きとして実感できるものになるとともに、少子化による人口減少の問題、地球規模での環境や資源の問題、市民の生活様式や価値観の多様化など、予想をはるかに上回る速さで変化しています。
また、地方分権の推進により、各自治体には市民や企業との協働のもと、それぞれの地域特性を生かした独自のまちづくりの展開を図る一方で、経済情勢もその伸びが期待しがたいことから、より効率的な行財政運営が求められています。
このため本市では、過去の延長線上ではとらえられない社会や経済構造の変化が本市に与える影響などを的確に判断し、それらに柔軟に対応できるさまざまな仕組みづくりや施策を総合的かつ計画的に展開しながら、市民とともに個性あるまちづくりを進めるため、その指針となる第4次長期総合計画を策定するものです。
福祉や産業、教育文化など市のまちづくりを構成する各分野から代表する市民と、大学教授などの学識者をあわせた25人の委員で構成されていました。また、審議会は、10人(全体の4割)の女性が委員として参加しており、女性の視点が反映された計画になりました。
21世紀を迎えるにあたり、社会情勢は、大きく転換しようとしています。新・全国総合開発計画「21世紀のグランドデザイン」においては、国土をめぐる国民意識、時代の潮流について、以下のように整理しています。
全国的に人口は減少局面へ移行しつつあり、少子高齢社会の到来は現実のものとなっています。そのため、生産年齢人口の減少による経済活力の低下、医療や年金などの負担増加など、社会経済構造への影響が懸念されます。また、経済活力の低下により、国土基盤投資の重点化や効率化が一層推進されます。
成熟社会を迎え、人々の意識や価値観は、これまでの経済的な豊かさから心の豊かさを重視する方向へ変化してきており、社会・経済の制度や仕組みも画一的、横並び志向から、自主性や自立性を高める方向に見直しが進められています。また、男女が性別による固定的役割分担意識にとらわれず、社会の対等な立場で社会のあらゆる分野に参画し、ともに責任を担おうという考え方が浸透しつつあります。
高度情報化の急速な進展は、個人生活や企業活動、都市機能、行政サービスなどの分野に大きな影響を及ぼしていくものと予想されます。国内に限らず地球的な規模で時間と距離の制約が克服されるものと思われ、情報へのアクセスの地域間格差は解消に向かい、集積の低さや大都市からの距離といった克服困難な不利な条件を抱えていた地域社会に今までにない発展の機会がもたらされようとしています。
情報化の進展や技術革新などを背景として、さまざまな分野で国境を越えた人、モノ、資金、情報の交流が進展することが予想されます。
また、地球温暖化、オゾン層の破壊など地球的規模での環境や資源の問題が深刻化し、地球環境保全や循環型資源利用を推進するための国際的な枠組みが強化され、その取り組みが求められています。
県人口の約4割を占める仙台市は、政令指定都市への移行を契機に、産業・経済、医療、教育・文化などあらゆる面で都市機能が集積し、今後も東北の中枢都市としての役割を果たすものと思われます。
このような中、仙台市に隣接する市町では、地下鉄の開通や車社会の進展を背景に郊外型の良好な住環境が整備され、仙台市を中心に南北方向への人口の集積が顕著となっています。
本市を含む塩釜地区については、これまで消防や福祉など市民生活に密着する分野について広域的な連携を積極的に図りながら、共通する課題に取り組んできました。一方で当地区は、新しい地域づくりの方向性を示した宮城県総合計画において、「国内外に開かれた観光・スポーツ・レクリエーションの拠点の形成」や「港湾を中心とした交流機能の強化」、「港湾を生かした産業の振興」への取り組みが今後の役割として期待されています。
分権社会を見据えて圏域内の市町村では、それぞれの地域特性を生かした役割・機能を担うとともに、相互補完や連携を図りながら、まちづくりを進めていくことが今後の重要な課題となっています。
本市は、天然の港に恵まれ、古くは国府多賀城の国府津として、藩政時代には鹽竈神社の門前町や漁港として発展してきました。明治以降は、東北本線の開通、東北初の重要港湾の指定と近代東北の玄関口として重要な役割を果たすとともに、漁業の飛躍的な発展もあり、水産港湾都市としての地位を築いてきました。また、それらの産業や都市基盤の整備を背景に、就労や商業面において近隣市町の中心的な役割を担ってきました。
一方、仙台市と隣接した位置にあって、交通の利便性が高いことや、丘陵地景観を持つ居住地としての恵まれた条件もあり、海岸線の埋立てや丘陵地の住宅開発など、周辺の市町村に先駆け、いち早く市街地を形成し、都市機能の充実が図られました。
しかし現在では、世界的な漁業規制や流通形態の変化などの影響による水産業の低迷や、車社会の進展を背景に郊外型の大型店が進出し、各市町が商業機能を有するようになり、本市の求心力が低下してきており、中心市街地では人口の減少が目立ちはじめています。
そのため、本市においては、塩竈の地域特性を十分に生かしつつ市民にとって魅力的なまちづくりを進めていくことが必要となってきています。
長期総合計画は、「基本構想」、「基本計画」及び「実施計画」をもって構成します。
将来の目指すべき姿を掲げるとともに、これを実現するための施策の体系や方向性を定め、まちづくりの指針とします。
基本構想に定めた本市の目指すべき姿を実現するために、必要な施策を具体的・体系的に明らかにします。
基本計画で方向づけられた施策を具体的に展開するため、財政計画との整合性を図った上で各年度に実施する具体的な事業を明らかにします。